
車に乗る方なら誰でも聞いたことのあるであろう『スタッドレスタイヤ』、
冬になると交換するというイメージがありますが、その機能について詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。
そこでこの記事ではスタッドレスタイヤについて分かりやすく解説していきます。
来たる冬に向けて快適なカーライフを送れるよう是非最後までご覧ください。
1.スタッドレスタイヤとは

まずはスタッドレスタイヤという言葉の意味について解説します。
スタッド(鋲)・レス(無い)・タイヤということで、
滑り止めの鋲(スパイク)が無いタイヤという意味になります。
現在、公道を走る車にはタイヤに滑り止めのスパイクは付いていないため、わざわざそのスパイクが無いことを名前でアピールする必要はありません。
ではなぜこのような名前になっているのでしょうか?
スタッドレスタイヤの名前の由来
1970年代の日本ではスパイクタイヤと呼ばれる積雪寒冷地帯向けの滑り止めのスパイクが装着されたタイヤが普及していました。
この滑り止めのスパイクは金属でできており、雪道や凍った道路でブレーキした際のグリップ力に優れたタイヤでした。
しかし、金属でできたスパイクはタイヤが回転するたびに地面に接触してしまうので道路の摩耗や削れたアスファルトから発生する粉塵などが問題になってしまいます。
そこで誕生したのがスタッドレスタイヤでした。
当時主流だったスパイクタイヤが抱えていた問題を解決し、スパイク(鋲)が無いにもかかわらず同等の安全性能を持つスタッドレスタイヤは時代のニーズに応える形で普及し、世代交代を果たしたのです。
2.スタッドレスタイヤの効果

先ほどスタッドレスタイヤはスパイクタイヤと同等の性能とご紹介しましたが、単にグリップ力に優れたタイヤというわけではありません。
ここではスタッドレスタイヤの具体的な効果についてご紹介します。
【低温環境下に強いタイヤ】
タイヤの素材であるゴムは温めると柔らかくなり、冷やすと固くなるという性質を持っています。
タイヤは固くなると地面の細かな凹凸に対してのタイヤの密着率が下がってしまい、摩擦の力によるグリップ力が低下してしまいます。
しかし、スタッドレスタイヤは低温環境に強いゴムを使用して製造されています。これにより単に雪道や凍った道路だけでなく、気温の低い環境でのタイヤの性能の低下を軽減してくれているのです。
【凍った道路に強いタイヤ】
凍結した道路が滑る理由は気温の変化や日差し、そしてタイヤと氷が触れた際に起こる摩擦熱で氷が解けて水になるからです。
地面とタイヤの間に薄い水があると摩擦係数が下がり滑ってしまうのです。
スタッドレスタイヤはこの問題に対処するために製造過程にある工夫を加えられています。
それが、タイヤに刻まれた無数の細かい溝(サイプ)で水を瞬時に掻き出す仕組みや、タイヤのゴム自体にスポンジのような役割を持たせる技術(発泡ゴムなど)です。これらによって滑りの原因となる水の膜を取り除き、氷に直接タイヤを密着させることができるのです。
【雪道に強いタイヤ】
皆さんもご存じの通り、タイヤには無数の特徴的な溝が彫られています。
この溝によって地面の凹凸に対して密着することで摩擦力を得ているタイヤですが、当然この溝に土や雪のような異物が入り込むと摩擦力が低下してタイヤの性能が落ちてしまいます。
そのためスタッドレスタイヤの溝は通常のタイヤよりも深く、複雑な形状をしています。
これにより溝に入った雪を効率よく排出し、タイヤが雪をしっかりと掴んで蹴り出す力(雪柱せん断力)を生み出すことで雪道でのグリップ力を確保しているのです。
3. スタッドレスタイヤはいつ必要?

ここまでスタッドレスタイヤの性能や簡単な歴史についてご紹介してきました。
ここからは具体的にスタッドレスタイヤはいつ、どのタイミングで必要になるかについて解説していきます。
交換時期の目安は「気温7℃」
スタッドレスタイヤへの交換時期を判断する上で重要な目安となるのが「気温」です。
実は、夏用タイヤに使われているゴムは気温が7℃を下回ると硬くなり始め、本来の性能を発揮しづらくなります。一方、スタッドレスタイヤは低温でもしなやかさを保つ特殊なゴムで作られているため、7℃以下の環境でも安定したグリップ力を維持できます。
雪が降ってなくても温度によってタイヤの性能が低下するため交換が推奨されているのです。
初雪予報の1ヶ月前には準備を
「雪が降ってから交換すればいいや」と考えていると、思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。
突然の降雪で慌ててタイヤ販売店やガソリンスタンドに駆け込むと、同じ考えのドライバーで非常に混雑し、長時間待たされるケースが少なくありません。また、いざ交換しようとした時に、自分の車に合うサイズのタイヤが在庫切れになっている可能性もあります。
冬用タイヤには装着義務がある
雪道や凍結した道路を夏用タイヤで走行することは非常に危険なだけでなく、法律違反になる場合があります。沖縄県を除く各都道府県の公安委員会が定める道路交通法施行細則により、積雪・凍結した路面では滑り止めの措置を講じることが義務付けられています。
冬場の運転にはスタッドレスタイヤの装着が不可欠です。
4.スタッドレスタイヤの寿命とチェックポイント

スタッドレスタイヤは、たとえ溝が残っていても経年劣化によって性能が低下します。いざという時に効果を発揮できるように使用前には必ずタイヤの状態をチェックしましょう。
寿命のサイン①:プラットフォームの露出
スタッドレスタイヤには、冬用タイヤとしての使用限界を示す「プラットフォーム」という目印があります。これはタイヤの溝の中にあるギザギザの突起で、タイヤが新品時から50%摩耗すると表面に現れます。
プラットフォームはタイヤによって付いている位置が違うことがありますが、国内で流通している多くはタイヤの側面に矢印のマークがあるはずです。
その矢印の先にある溝をよく見るとプラットフォームがあります。
プラットフォームが露出したタイヤは雪道や凍結路でのグリップ力が大幅に低下しており、冬用タイヤとしては使用できません。
安全に走行するため、速やかに新しいタイヤに交換してください。
寿命のサイン②:ゴムの硬化やひび割れ
スタッドレスタイヤの最大の特徴である「ゴムのしなやかさ」は、時間と共に失われていきます。ゴムが硬くなると、道路の微細な凹凸に密着できなくなり、滑りやすくなってしまいます。
タイヤの側面や溝の部分にひび割れがないか、触ってみてゴムが硬くなっていないかを確認しましょう。見た目に変化がなくても、整備店やタイヤ販売店などで専用の硬度計を使って点検してもらうとより安心です。
寿命のサイン③:使用年数と走行距離
タイヤメーカーは、スタッドレスタイヤの寿命の目安を使用開始から3〜5年としています。
ただし、たとえあまり走行していなくてもゴムは時間と共に劣化するため、製造年から年数が経過している場合は注意が必要です。
次に走行距離の目安は、一般的に10,000kmから15,000kmと言われています。
もちろん、これは急発進や急ブレーキの頻度といった運転の仕方や走行する路面状況によって大きく変わります。走行距離が増えれば、その分タイヤの溝は摩耗していきます。溝がすり減って先述した「プラットフォーム」が露出すると、冬用タイヤとしての寿命を迎えたことになります。
5. スタッドレスタイヤの保管方法

スタッドレスタイヤは冬に便利な機能がたくさん詰まったタイヤです。
しかし、スタッドレスタイヤはあくまで冬用であり、夏場での使用には適さないのです。
そのため、冬以外は使用せず保管しておく必要があります。
スタッドレスタイヤが夏場に使えない理由
スタッドレスタイヤは温度の低下によるゴムの硬化に強いように設計されていますが、逆に高温環境下には強くありません。
温度の上昇によりゴムが必要以上に柔らかくなるとタイヤの設置面積が増えてしまい、タイヤの寿命が早まります。
常に同じタイヤを履き続けるという選択肢を取るなら、オールシーズンタイヤの利用を検討しましょう。
保管方法
適切な保管はスタッドレスタイヤの劣化を防ぎ、寿命を延ばすために非常に重要です。
・洗浄と乾燥
保管前には、タイヤについた汚れや融雪剤を水で洗い流し、水分が残らないようにしっかりと乾燥させます。水分はゴムの劣化やホイールのサビの原因になります。
・タイヤの空気圧を下げる
タイヤ内の圧力を下げることで、ゴムへの負担を軽減できます。適正空気圧の半分程度まで空気を抜いておきましょう。
・保管場所
直射日光、雨風、熱源を避けられる屋内のガレージなどの冷暗所が最適です。屋外で保管する場合は、必ず遮光・防水性の高いタイヤカバーをかけましょう。
・置き方
ホイール付き:横向きに平積みで保管します。縦置きするとホイールの重みでタイヤが変形する恐れがあります。
タイヤのみの場合:縦置きで保管します。横積みにすると、一番下のタイヤが重みで変形してしまう可能性があります。
6.まとめ

今回はスタッドレスタイヤの仕組みから、交換時期、寿命のチェックポイント、そして保管方法までを詳しく解説しました。
スタッドレスタイヤは、冬の低温下で真価を発揮し、雪道や凍結路といった危険な路面状況から私たちの安全を守ってくれる重要なパーツです。交換と聞くと面倒に感じるかもしれませんが、事故を避けるためにも早めに交換しておく必要があります。
もしスタッドレスタイヤへの交換を検討されているのであれば是非、リバティをご利用ください。































































































































































